サバイバル節約術


番外編 〜接着剤〜


道具を作る際、あるととても便利なもの・・・それは、接着剤。
私も現在の生活で、ヤマトノリ、アロンアルファ、ゴムボンドのG17、硬化するエポキシボンドなど・・・それぞれの状況によって使い分けてます。
現在の生活なんて書いてしまいましたが、同時にサバイバル生活でもある・・・自然の中にあるもので生活する・・・石器時代や縄文時代などで使われた知識&技術も習得していきたい!!

ここでは、お店で買うものではなく、自然から手に入るもので身近にあるもの・・・そんなものの中から接着剤になるものを手に入れてみます。


ざっくばらん・・・ごちゃまぜですが、接着剤たち:

天然アスファルト:原油が地上に出て変質したもの。鏃の固定や土器の修復などに利用されました。
           私の住む地域周辺では見つからないです・・・

漆:縄文時代から使われてきました。当時から日本には素晴らしい“技術”が存在していました。
  土器の修復など接着剤としての利用よりも、現在の様に塗料としての利用が主だったでしょう。

松脂:植物が傷ついた場所を保護するために出すもの・・・樹脂。
        こちらも縄文時代に既に使われていたとか。

膠:獣の骨や皮などを煮て乾かして固めたもの。ゼラチン。
  魚のニベの浮袋からも作られる。“にべもない”の語源。

糊:米や麦などのデンプンを煮詰めたもの。
  ご飯粒が潰れてベトベトになった経験をしている人は多いでしょう・・・

鳥もち:モチノキ、ナンキンハゼ、ヤドリギなどなど・・・様々な植物から取り出されたもの。
     鳥やセミなどを捕るのに使われた。

クモの巣:巣を木の枝に大量に絡ませ、セミなど様々な虫を捕るのに使われました。
      これは子供の遊びに使われただけでしょうか?

まだまだまだまだありそうです・・・





松脂接着剤:



松の木からでるヤニです。
乾燥してカチカチに固まったものを採取します。 これは着火剤としても利用できます。



道具の一部。
材料は松脂と炭。炭の原料は何でも良いと思います。
材料を火に掛けて溶かすので器も必要です。今回は、私の土器処女作に活躍して頂きました!
写真右上は、きりもみ式の火起こし道具。



松脂と炭を砕き、それぞれ半々の量にしました。
(松脂の方が粒で高さがあるので、恐らくこれで半々・・・ざっくり目分量で良いです。)
これを器に入れて火で焙り続けるのです・・・



久々に登場!!
私唯一のキャンプ!?道具。 ウッドストーブです。
とてもシンプルですが、構造が素晴らしい・・・煙突効果で効率がとても良いのです。
木の枝数本でお湯を沸かす事ができます。
ゴトクの隙間にちょうど載ったのでこのまましばらく焚き続けました・・・すると・・・



ジワジワ溶け始めたかと思ったら・・・次第にグツグツと泡を噴き始めました。
かなりドロッとしています。

今回は接着剤を作るだけの実験・・・
直ぐに使う予定はないので木の枝の先にくっ付け、マッチ状のものを何本か作りました。



冷めると直ぐにカチカチに硬化するので、枝先に着けたら冷まし、固まったらまた着けて・・・を、何度か繰り返して、マッチ状の“頭”部分を大きくしました。
これをまた溶かして利用したり、とても良く燃えるので着火剤としても使えます。
これは硬いプラスチックのよう・・・まさに樹脂です。
鏃を矢の先に固定する時に使えそうです。




漆喰:
漆喰を接着剤と呼ぶには少し厳しいか・・・そんな気もしましたが、とても古くは神話にも建築材料として出て来るだけでなく、さらに進んでモルタル、コンクリートならば石やブロック同士を繋ぎとめる役割を果たす事ができます。
江戸時代の実際に起きたサバイバル・・・“漂流(吉村昭)”では、絶海の孤島で真水は雨のみ・・・アホウドリのデカイ卵の殻を受け皿として雨水を溜めて命 を繋ぐなか、漆喰を作って池を作る話が出て来たときは、そんなバカな・・・などと思ってしまいました。後で調べたらこれが可能だったのです。
漆喰の歴史は古く、1万2千年前のメソポタミア文明が最古、日本でも縄文時代の遺跡から見つかってます。

漆喰は、消石灰+スサ+糊で作られます。
消石灰は石灰岩を塩と一緒に焼くか、貝殻(塩分を含む)を焼いて作る。
スサは藁や麻の繊維など。
糊は海藻。銀杏草、ツノマタ、布海苔など。


まずは、冬〜春に掛け買い物袋2つ満タンになるほど、カキの殻を集めました・・・加減が分からないので兎に角取りまくりました・・・さすがに多いか・・・そして・・・



6月。激熱の真夏は避けたかったので、風が無く、雨や雨上がりではない日を選んでいざ! ファイヤ〜!
直に土に置いたら火が通らないだろう・・・どれほど効果があるか分かりませんが、木を組んだ上に貝殻を載せました。



この上にさらに木を並べて火を点けました。
余談ですが野焼きなので600〜800℃程度でしょう。
この後、ただひたすら木を燃やし続け・・・



4時間近く経過して終了・・・



一部は手で持てない程、スカスカのカラカラ・・・触れると砕ける状態になりました。
冷めてから可能な限りカキ集めて持ち帰り・・・真夏が来たのでしばらく中断・・・



12月。ずっと放置していた袋を開き、殻を取り除いてフルイに掛け、粉だけにしました。
ここまでで消石灰完成。



次はスサ。
麻がないので、周りを見渡したらシナダレスズメガヤが目に入りました。
こまかな繊維ができれば使えるかな? 兎に角叩いてみる事に・・・



手作りMY木槌大活躍!! ・・・それはさておき・・・
叩いていたらだんだんモフモフに・・・写真の状態から袋に入れ、さらに揉み解しました。
見つけて採って解すまで、僅か1時間も掛かりませんでした。
取りあえず、スサ完成。



海岸を歩き回って集めた海藻。
ツノマタを探したのですが、そんな都合よく無く・・・見つけたのは上の写真のものばかり・・・
使えるのか!?
(良く似た海藻が多くて同定が難しいのですが、コトジツノマタでしょうか。これもツノマタ!?偶然。)



鍋に海藻と水を入れて火に掛け続けました・・・水が少し色付いただけで、それほど変化なし・・・ダメか!?
と・こ・ろ・が、このピンクの汁は想像以上にドロドロになっている事に気づいていざ!!



出来た糊を適当なプラケースに流し込んだところ。



その上にスサをパラパラと・・・細かいものは粉になってました。



糊がドロドロネバネバだったので、混ぜたらスサが混ぜた動きそのままの形で残るほど・・・



ここへ消石灰を投入!! 
実は消石灰とスサと糊の配合比率は不明!!
糊は乾燥すれば体積は殆ど無いだろう・・・スサもほぼ無いだろう・・・ザックリですが、乾燥した場合、消石灰99%程でしょうか。さてさて・・・



掻き混ぜたらタプタプ・・・何かに塗る時はもう少し消石灰を入れた方が良いでしょう・・・
今回はこの後、乾燥させるだけなのでタプタプのまま続行。



3日後。
プラケースなので空気に触れる面が1つで乾燥に時間が掛かりました。



裏も乾燥しました。
(それらしい模様が付いてますが、これは流し込んだプラケースの模様です。)
とても軽いです。ただ、強度は・・・クッキー程度! でした。
砂を混ぜると強度アップになるとの情報もありました。



さらに実験。



今回はさらにスサ増量!!
目分量でスサ1に消石灰2程度入れたのですが、上の写真の様に触ったらほぼ全部スサ状態。
今回は海藻を茹でて作った熱々のノリにスサと消石灰を投入して混ぜました。
さらに、スサと消石灰を混ぜたら3日間ほど寝かせました。これで馴染むのかな?



1週間後。カチカチ・・・熱々をプラケースに注いだのでケースが変形しました。



無理やり割ってみたところ。
力を入れたらピシッと亀裂が入るのですが、スサがみっしり入っているので、何度も上下に羽ばたく様にクネクネ折り曲げてやっと割れました。
これならば実用的な感じ・・・って、はてさて・・・まだまだ素材は大量にあるのですが、今の所使い道が無いので漆喰の実験はここまで。




でんぷん糊:
普通はこれを一番最初にやりそうですが・・・お米は自分で採取したものではない・・・他にデンプンは無い・・・と思ってました。
冷蔵庫に去年採取したユリ根のデンプンが残っているのに気付いたので早速挑戦!!



ユリ根が溶けるまでコトコト煮込んだ後、乾燥させて作ったデンプンの塊。
すり鉢に入ってますが、硬くて擂れない・・・この後、水を投入しました。
完全に固形になってしまったのか・・・一部は水を入れて混ぜてもそのまま、さらに擂ろうしたのですが、それでもカチカチ・・・と、言う事で、そんなカチカチのものは取り除きました。



鍋に入れてコトコト火に掛けます。汁が少なくなってドロッとするまで、かき混ぜながら火に掛け続けます。
これで糊の完成です。



今回は紙同士をくっ付けてみます。
紙を鍋に入れてベロッと・・・付け過ぎました・・・水分が多いと・・・当然、紙はベコベコに・・・



翌日。
くっ付けた紙を摘まんで引き剥がしてみました。
しっかりくっ付いてました。僅かですが、一部は破れてくっ付いたまま・・・
軽量なもの、それほど接着力が必要のないものなどに使える・・・まさにいわゆる“接着剤”では無く、“糊”が必要になった時に使えそうです。

さらに・・・


同時実行していたお香作り・・・お香を作ろうとヨモギの粉を固めるのにユリ根から取ったデンプン糊を使ったのです・・・結果、燃えない!! 残念!! だったのですが、これが、信じられない程にカチカチに硬化したのです。
カラカラに乾燥してとても軽いのに、両手で摘んで折ろうとしても全く無理!! 超硬い!



よもぎの繊維も入っているせいか、金づちで叩いても中々割れず・・・やっと・・・
これほど硬くなるのであれば、何かの物作りでも使えそうです。



海藻糊:



漆喰の実験のために大量に採取して残っていた海藻(コトジツノマタ?)。



これをコトコト煮込むとドロっとしたものになります。



紙同士の接着をしてみます。
塗って張り合わせたのですが、水分が多く、紙がベコベコ・・・それだけなら良いのですが、写真のように一部は浮いてる・・・押さえてもまた・・・さてさて・・・



乾燥したので引き剥がそうと引っ張ったら・・・パリッと、剥がれました。殆ど抵抗感なし・・・
これは接着したとは言い難い・・・



こちらも同時進行で作ってみたお香・・・デンプン糊の時ほどのカチカチではありませんが、両手で掴んで折ろうとしなければ、折れない(落としても折れない)程の強度はありました。




デンプン糊と海藻糊を水に浸けてみる実験。
お香を作りたくて固めたヨモギの葉(粉)です。
左はデンプン糊、右は海藻糊。

10分程度浸けてもデンプン糊はカチカチのまま、海藻糊は弾力がありました。



3時間半後。
左のデンプン糊は硬いのですが、強く押すと割れる感じ。
右の海藻糊は弾力があってブヨブヨしてるのですが、何度も押していると平に・・・



翌日。
左のデンプン糊はボロボロと崩れる感じ、右の海藻糊はついに粉々に・・・




膠(にかわ):



イシモチの浮袋。
これを煮詰めて膠が作られました。



今回はアオダイショウの皮と身を取ったアラを使って見ました。



弱火でコトコト煮詰めました。



容器に入れて乾燥させていきます。



乾燥させたらペラッペラ! 薄い! 少ない!




膠を作りたくてナマズ釣り♪ 無事Get♪
何故、ナマズ!? これは何となく・・・ぷるぷる&強靭な皮が良さげな気がしたのです。



ぷるぷるの皮を鍋で煮詰めました。(写真は水を入れる前です。)



こちらは、ナマズの黒っぽい色が着いてます。

腐ったりカビたりしやすいので、乾燥に時間を掛け過ぎないように・・・


本物の膠は、実際に見た事も触った事も無い・・・これは膠なのか!?
と・り・あ・え・ず・・・接着剤として使えるのならば成功でしょう。



まずはアオダイショウ版の膠。
沸騰させないように湯煎で溶かします。



試すのに何が良いか分からず・・・と・り・あ・え・ず、手元にあったもので・・・
写真左上は紙同士、手前は縦に割いた木を接着。
これが、想像以上にバッチグー♪ ←超古い♪
ガッチリくっついて離れない♪ まずは成功! と、言う事で♪

この後・・・いろいろあり・・・ナマズで膠を作ったのですが、それも忘れて時は流れ・・・
どうして膠を作ったのかも忘れてました・・・実は、墨を作りたくてナマズを釣ったのです。



ナマズの膠と、松を燃やして集めた煤を混ぜて固めた墨です。
(詳細は、番外編の“筆記具”のページに)
僅かな風で舞ってしまう煤をカチコチに固める事ができました。
なんとか成功♪








 

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