サバイバル節約術


番外編 〜縄文の釣り〜


縄文時代の狩猟・採集生活をいろいろ調べていたら、釣り針は鹿の角から作られ、釣り糸はカラムシなどの繊維が使われた事を知りました。

いつか鹿の角を拾う事が出来ないかと、思い続けていたら奇跡的に手に入れることが出来たのですが、あまりの形の美しさに切り刻んでしまうのを躊躇し・・・こちらはまたいつか・・・もう1本加工用に拾えないかな?

釣り糸に関しては、糸やヒモなど、洋服を作ったり、道具を作るために必要なので、サバイバル生活の初期の頃から少しずつ経験を積んでいました。
そんななか、とても局地的ですがカラムシの生育する場所を見つけ、繊維を採取するのに丁度良い夏になり、採ってみたら想像以上に強靭な繊維だったので、釣り針は後回しにして、まずは釣り糸の実験をしてみました。


植物の繊維から作る釣り糸では、魚に丸見え・・・
縄文時代に比べて現在では釣りの技術が進歩し過ぎて、とても繊細な釣りが多くなってます。
ならばどうするか・・・夜ならば糸が見えないので良いかも! ただ、大物が掛かる可能性が高いのでそれなりに太くする必要がありそうです。エイなどが掛かったら即アウトでしょう・・・
その他、極細でも強靭なので極限まで細くすればサビキでも行けるか・・・まずはサビキでの実験にしました。



カラムシの繊維を取り出したもの。



何本か作った糸の中で、今回は最も細いもの・・・太さは0.25mm程度。
こんなに細くても両手で引っ張ると皮膚に食い込む程に強靭です。






繊維を取り出す時にも手こずった性質・・・
繊維同士が触れると引っ付いて引っ掛かる感じになるのです・・・
スルスルと滑ってしまうナイロンの釣り糸と同じ結び方(外掛け結び)にしてみましたが、どう考えても、この繊維に最適な結びは別にあるはずです。こちらはまたいろいろ時間を掛けて考えてみます。




今回の仕掛け。
下カゴ方式のサビキ仕掛けです。写真右のカゴの上には市販のサビキ仕掛けが付いてます。
カゴにステンレス線の腕を付け、そこへ今回実験で作った釣り糸を結びました。
(場所は港内、流れが緩やかなのでこの形で良いのです。流れが速い場合は、本格的なロケットカゴが良いでしょう。)



今日は食いが悪い・・・そんな中・・・イシダイの子供が釣れました。
地面で暴れている間に針は外れました。

エサだけ何度か取られた後、手のひらサイズのメジナが掛かったのですが、水面に持ち上げた瞬間にバレて逃げられました。



その後、体長15cm程度のマアジが釣れたのですが、釣り上げて地面に置いたら・・・何故か切れてる・・・針がない・・・
切れた先に再度、釣り針を付けて釣り続行。



体長10cm程度のヒガンフグが釣れました。
その強靭なフグの歯は釣り針自体も咬み切ってしまうほどです。
やめて〜!! 何とか無事でしたが、この後、魚をバラしてしまい、良く見ると結び目はそのままで釣り針だけがない・・・スッポ抜けしてしまったようです・・・



体長10cm程度のコモンフグ。
無事、唇に針掛かりしてます・・・

その後もまた針だけスッポ抜け・・・極小の釣り針なので、ミミ(釣り針の元側にある糸が掛かる部分)がとても小さいのです。

今回の実験はここまで。
まずは、兎にも角にも・・・魚を釣り上げる事ができました。
日中で魚に見切られる可能性も十分にありましたが、パッとコマセを撒くと、他の魚に食べられない様に我先に争ってしまう魚の習性を利用してみました。
約3時間程度、この仕掛けを使ってみましたが、水(海水)にも強く、ふやけて切れ易くなる事もありませんでした。
スッポ抜け3回・・・これは結び方を変えれば解決するでしょう。
繊維が切れたのが1回。細いナイロンの糸でも良くある事なので、これはこんなものなのでしょう・・・
余談ですが、今回カラムシから取った繊維・・・これはド素人が初めてカラムシから取った繊維で作ったもの。
修練を積めば、もっと強靭で均一な糸を作ることが出来るでしょう。





結び方を考える。
何を参考にしようか・・・釣りならば当然、釣りの結びを思いつくのですが、最もよく使われるナイロンラインは、柔らかくしなやか、伸び縮みしてスッポ抜け るので、それに適した結びになってます。次いで良く使われるPEラインはさらに柔らかく腰が無い・・・伸び縮みしない所は似ていますが、とてもスッポ抜け やすいのです・・・このスッポ抜けに対応した結びになっているのです。
そしてふと・・・釣りよりもロープ・・・現在良く使われているロープワークの中に良い結びがあるのでは!?

カラムシの糸のストックがあまりないので・・・近いと思われる麻のヒモを使い、抜けにくい結び方を考えてみます。
結ぶものは、手元にあった・・・竹の杖・・・
釣りの結びで解けるのは、ずっと同じ力で引っ張られる時ではなく、グィグィグィッと何度もテンションを掛けた時なのです。
テストもこの方法でやってみました。


まずは巻き結び。
ロープワークの定番中の定番。もやい結びと並んで結びの王様と呼ばれます。



結んだところ。



結んだ後に片方のヒモだけ力の加わる所には向いてない・・・案の定、緩んでしまいました。
とても簡単に・・・あっと言う間に緩みます・・・


ふた結び。
簡単に出来て強固。タープを木にくくる時にも使われる・・・これは、風で何度もはためく・・・魚に引っ張られるのと似てる・・・



結んだところ。



パンパンッと何度もピンと張ったり緩めたりしましたが、全く抜けない。


巻き結び+ふた結び。
水に濡れると解けにくくなる巻き結びをした後、グルッ回して反対側でふた結びにしたらどうか・・・
これならば、巻き結び部分に両方から力が加わるのです。
両方の良い所を合体させてみました・・・これは、その場の思い付き・・・



こちらも全く解けませんでした。
気休めかもしれませんが、この方が良い感じです。
さらに・・・このヒモを保護&緩みにくくするために、この上に別のヒモを使って巻き込むのも良さそうです。





冬の間に鹿角の釣り針を作ったのですが、糸が無い・・・
今まで作ったのは、どれも短く、信頼できないものばかり・・・とても短い処女作たちばかりだったのです。
・・・そこで、春まで待ちぼうけ・・・



カラムシの繊維は8月まで待たなければならない・・・そこで、今回は5月に採れるフジのツルを採取しました。
親指ほどの太さのツルから180cm程度の繊維が採れました。
写真左が取り出した繊維、右は残りの芯部分。
これをひたすらヨリヨリ・・・



長さ180cm程の釣り糸を作りました。




結びを考える・・・
巻き結びとふた結びを使う案は決まっていたのですが、実際に使う釣り針でやってみると・・・
コブが大きいと懐が狭くなる・・・糸が針の軸に沿う形でないとダメ・・・
写真は、色々試行錯誤した結果、最良だったもの。
巻き結びをした後、上の窪みにグルッと回した後にふた結びをしました。
糸を引っ張った時に、針先に触れたものに食い込むようでなければならないのです。




とても幅の広い用水路での釣りを想定して、一番真っ直ぐで長い川柳の枝を採取しました。
長さ2m30cm。
写真は分かり難いですが、糸と針も結んだ完成形。



ナマズの大好物のブタレバーを付けて早速・・・
結果、残念でした・・・
2度ほど薄暗くなり始める頃に挑戦しましたがダメでした。
水深20cm程度か・・・ナマズの姿丸見えなので、顔の前にレバーを・・・喰った!!
・・・が、直ぐに吐き出してしまったり、竿を引いても掛かりませんでした。
くわえた時に違和感をあたえないように糸をたるませてもダメ。フジの蔓は苦いのか?
また、口のデカイナマズ・・・相当に鋭く刺さるほどに尖っていないと掛かる間もなく簡単に口から出て来てしまいました。
これはダメか・・・狙う対象も悪かったのか?
これはしばらく名案が浮かぶまで保留か・・・またいつか。

































 

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