石を使った道具。刃物のあるものを・・・初めはボンヤリしたイメージで始めましたが、あやふやでは漠然とし過ぎなので、ネットを検索。 途中からですが、いろいろな石斧を参考にして自分なりのものを作ってみる事にしました。 石斧・・・これには打製石器と磨製石器があります。私の住む地域で打製石器に使える手頃な石材が見つからないので磨製石器を選択。 あちこちの山で蛇紋岩らしきものを見かけるのですが、どれもボロボロ・・・手で軽く叩くだけでボロボロと・・・ 少しでも割れ難そうなものをあちこちで探しました。 山のガレ場から拾ってきました。 いびつですが、先が尖っているので武器になりそう・・・ だいぶ削って形を整えました。 が・・・硬いと思っても突然欠けたりするのです・・・ 道具としてはとても使えない・・・表面が綺麗なので磨いてオブジェにでもしようか・・・ 白っぽい所がコツコツと形を整えた所です。 別の山のガレ場から・・・叩いてもビクともしない硬い蛇紋岩の石を採取してきて磨きました。 白っぽい所がコツコツと形を整えた所です。 球形なのでこれを刃物にするのはかなり大変そう・・・コツコツやっていたら・・・やはりヒビが・・・ 思い切って大きな石に当ててみたらご覧の通り・・・パックリと割れてしまいました。 ・・・これでは、長時間かけて丁寧に石斧を作っても一撃で砕けてしまうでしょう・・・ 少し前後しますが・・・下の石斧を何日も何ヶ月もコツコツとやっている間に試してみたものです。 山のガレ場にあった平たい蛇紋岩。これに石を打ちつけて僅かに尖らせ、手で持って木を打ってみました。 意外にも表面の樹皮は簡単に剥けました。 (実はここまではとても簡単なのです・・・樹皮はとても柔らかく・・・その内側の芯は丈夫なのです。) 手持ちなので手が痛い!! だけでなく、柔らかい蛇紋岩の刃では直ぐに潰れてしまうのでした。 ここまで、どうも山のガレ場にある崩れてきた蛇紋岩では硬いと思っても割れやすい・・・ 調べたら縄文人もこんな場所の石はどうも割れやすい事を知っていたようで・・・川原に転がっているもの・・・柔らかい部分の削り取られたもの・・・硬い蛇紋岩だけになったものを使ったようなのでした。 とても硬い花崗岩・・・この石で石器はできないか・・・と、ふと気になってしまい・・・ 近くにあった別の花崗岩とコツコツぶつけてみたら、意外にも簡単に削れる!! これは!! コツコツ、コツコツ・・・ひたすらコツコツ。 刃にする方は平らに角を削り、逆側はやや細くなるように・・・コツコツ。 相当な時間を掛けてコツコツ・・・していたら・・・何か変だぞ・・・思ったよりも削れてない・・・ だんだんと気付いてしまった事実・・・表面は風化して脆くなっているのですが、中身は相当に硬い花崗岩。 ここからさらに数段、気の遠くなるようなコツコツは続くのです。 かなりの時間を費やした刃の部分・・・どんな感じか試し打ち・・・ 柔らかい樹皮は簡単に剥けましたが、ここからは全くダメ・・・もっともっとコツコツして鋭くする必要がありそうです。 さらにその後・・・最初にコツコツしてから何十時間を費やしたでしょうか・・・ 今回は余りに時間が掛かり過ぎるのでミニルーターも使いました。 ただ、とても非力・・・さらに“目”が細かすぎるようで・・・いくらやっても削れてる気がしない・・・さらに・・・連続使用時間5分の制限付き・・・気の遠くなるような作業が続きます・・・ここでそれっぽくなってきたので試し打ち。これは削れる!! ただ限界・・・手持ちで打つには痛くて断念。 ここからさらに削って持ち手も作る予定です。 ※持ち手の素材を手に入れて乾燥させて削って・・・完成するのは次の冬・・・1年後か・・・ 写真を撮り忘れ・・・河原のグミの木から太い枝を頂きました。 グミの木を柄に選んだ理由は・・・玄翁(かなづち)の柄とした場合、衝撃を吸収するので良いとか・・・ 他にもいくつかの木があるのですが、今の私には手に入らないので全て却下。 春に採取して今は秋・・・ずっと・・・乾燥させるために放置していたのです。 加工してから割れるとイヤなので、切った状態で乾燥させてから加工を始めました。ただ、どの情報も・・・必ず生木を使うとあります・・・これは、使う時に割れないため!? 弾力を生かして手に伝わる衝撃を和らげるため!? 色々な情報を漁っていると、刃となる石は幾つか用意しておき、差し替えながら使うとか・・・柄がメインで刃は消耗品? また、この柄自体・・・作るには相 当な労力が必要・・・生木を切って柄を作り、使ったら捨てるなど・・・考えられない・・・などなど・・・の理由で勝手に乾燥させてから作ってみたのでし た・・・はてさて・・・ 思い付きで作り始めた石斧・・・両手で振るうような大型のものは場所を取るので、コンパクトなものにしたい・・・今回は、手斧サイズのつもり・・・適度な長さが分らないので、やや長めに採取したら表面をナイフでガリガリと削って行きました。 写真は、既に皮を剥いてしまい何度も指を痛めながら削っている途中。 加工するには生木の方がずっと楽・・・割れてしまうのを恐れて乾燥させたのは失敗か!? 硬すぎる・・・ 身の回りに道具が無い場合、穴を開けるには“燃えさし”を使います。 燃えている木を当てて焦がして穴を開けるのです。 今回は、木を燃やす環境が身近に無いので、ドリルで貫通する穴を開けてしまいました。 そこからは、写真に写っているヤスリ(100均)を使いました。 表面が大根おろしに使うおろし金のようになっていて、見るからに凶悪・・・何かに使えると思って買っておいたもの・・・これがとても役立ちました。ガリガリと削れました。 ガリガリガリガリ・・・ひたすらガリガリ・・・ 初めはもっと削れたはず・・・100均なので刃が鈍って来たか・・・柄の形はネットを検索し、“ただ真っ直ぐな棒”ではなく、若干、湾曲させながら削りました。 “小鹿の脚”とまでは行かないまでも、そこそこ湾曲させてみました。 これは、振るった時に手からスッポ抜ける不安が無くなり、手にシックリ来るのです。 散々削って・・・さらに、表面のヤスリ掛けまで・・・これだけならかなり良い感じ。 ただ、スベスベにし過ぎて滑りそう!? 初めて作った石斧に対するのは・・・河原のアカメガシワです。 直径4cm少々程度だろうか・・・幹を握って指が回る太さです。 ガンガン叩くと・・・削れます!! が・・・ ただ・・・どうも・・・やたらと刃(石)が抜け落ちる・・・ ガンガン・・・ポロッ。拾って嵌めて・・・ポロッ。 やる気が無くなりまくり・・・ その場で枯れ枝、ツル、枯草など・・・色々挟んでみましたが、そこそこ・・・ 刃を蛤刃型にして厚いのは当然、承知です・・・木の繊維を削り取るには刃を寝かす必要がありますが、 写真のように・・・刃が厚いとかなり立てないと行けません・・・ これでは、木が太いほど・・・相当に広範囲を削って行かないと折れない・・・ 木自体が陽に向かって斜めだったので片側ばかりを削りましたが、なんとか幹の中央まで削りました。 ここまで1時間少々。 力を加えたらボキッと、折る事ができましたが、これでは問題点があり過ぎ・・・ まずは、とりあえず・・・大きな問題点2つ。 一つ目は、刃(石)が柄からスッポ抜けし易い・・・打つたびに抜けて・・・何度もうんざりしました。 二つ目は、刃がまだまだ厚い・・・打ち付けても木の繊維がほぐれるばかりでなかなか切れないのです。 この状態から修正できるだろうか・・・再度、加工してみます。 刃と柄の接点部分を再度加工・・・ もっと面で当たるように、刃の柄と当たる上下部分は曲面ではなく、出来るだけ直線に・・・ 柄の穴側もそれに合わせて真っ直ぐに・・・ ただでさえ短い刃がさらに柄に埋まりました・・・が!!! 写真の程度・・・少し木を削りました。この間6分程度でしたが、刃が一度も抜けませんでした!! (何本も木をむやみに切ってしまうのは申し訳なく・・・前回切った木と同じ・・・さらに根本で試しました。) 刃の厚みの調整はまだなので、さらに調整してみます。 今更ながら・・・柄に穴を開ける時から気を付けていた点。 微妙な角度が難しくて写りが微妙ですが、石の刃と木の柄との接点は、上下部分だけなのです。 両サイドには隙間(写真のように・・・見えるかな!?)を開けるのです。 これがどうなるかと言うと・・・木を切るために受けた衝撃は柄に対して垂直ではなく、柄の方向・・・穴を縦に伸ばす方向への力となるのです・・・これならば相当な力にも耐えられるでしょう。 刃をさらに鋭角にしてみました。 良い写真ではありませんが・・・ 石斧を立て掛けている木・・・直径6cmのアカメガシワが今回の対戦相手・・・ 生き物の体長を測っても、同じなのですが、メジャーでサイズを見ると大分小さく感じます・・・実物は一回り大きいです。 前回は握ると簡単に指が回りましたが、今回は全く・・・太い!! いざ! ラウンド1 スタート!! 1時間後。 “く”の字に凹んでいる右側だけでなく、手前や奥も削ってます。 なかなかなかなか・・・良く考えたら・・・石斧作りも素人ですが、木を切る事に対しても・・・素人だと気付きました・・・今さら・・・ 若い時に比べて体力も落ちて・・・手首への負担がハンパ無い・・・体を回転させて打ったり・・・あれこれ体勢を変えながら・・・休みなく打ち続けました。 上から斜め下へ打ち下ろす方が狙いが定まるので鋭角に・・・下から打ち上げるのは少し難しいので、大分広範囲削ってます・・・ 右利きなので、木を正面にした時、幹の左側を打つ時よりも、右側の方が打ちやすい・・・当然。 約1時間半後。 全方向から削り・・・残りは直径3cmも無いでしょう・・・ 刃を鋭角にしたので、写真のようにこれほどの角度で削る事ができました。 ほぼ真っ直ぐ上方に伸びていて・・・蔓が絡まり・・・上方が固定されているので、倒れる気配が無い・・・ 1時間45分後・・・ やっと・・・残り僅かになっても倒れなかったので・・・この木に登って引き倒しました・・・ちょっと強引・・・ 記念撮影・・・ 写真一番右が、切った木の幹(根元側)、中央は石斧、その左は切り落とした木の上方部分・・・ 蔓が絡まって周囲の木もあり・・・倒れず立ったまま・・・ 今回切った木は、また何かの細工に使います。取りあえず・・・そのまま放置して乾燥させます。 今回分かった事(思い知らされた事)・・・ 小型の手斧では、腕力(打ち付ける力)が必要・・・大型の石斧にすれば打ち下ろすのは楽ですが、持ち上げるのに体力が必要になる・・・どちらにしても・・・腕力、体力が必要です・・・鍛えなおしたい・・・ 木を切る事だけを取っても・・・素人です・・・日々の生業とされている樵(キコリ)ならば・・・今時、斧を使う樵はいないか・・・積み重ねた経験があれば、この石斧でも木を切るスピードは段違いでしょう・・・ 大分時間は掛かりましたが・・・ 石斧の刃(石)が柄(木)から1度も抜けませんでした。 刃は全く欠けていません。 柄は亀裂など全くありません。 ・・・全く問題なし!! これは、取りあえず・・・成功!! か!? 素手だけでは全く不可能な・・・木を切り倒す事ができました。 素晴らしい!! 自画自賛!! もし・・・万が一・・・また気が向いたら・・・ もっと大きな刃(できれば蛇紋岩)で作ってみたい。 また、両手で使う大型の斧にしても良いかも・・・ 続きはまた・・・