サバイバル節約術


番外編 〜チルト撮影〜

チルト(正確にはティルト)撮影とは、通常、カメラ本体に対してレンズは垂直なのですが、これを敢えて傾けて撮影する方法なんです♪

まずは前置き・・・そのティルト撮影を行なうためには、何を買えば良い!?
結果、あれこれ調べましたが、ニコンのFマウントでこれを実現する方法(もちろん安く♪)は、意外に少ししかありませんでした・・・
方法としては・・・

1、チルト機能を備えたレンズを新たに買う。
  ・ニコン純正は、PC NIKKOR 19mm f/4E ED ですが、なんと!!! 中古で \^323,800 !!
   本来、建築家など特定の人が業務などで使うもの・・・アブノーマルなので単価が高いのです・・・もちろん、検討の余地すら無し!!
  ・SAMYANGからもチルトレンズが発売されましたが、広角の24mmで、やっぱり値段は・・・\115,093 !!
  ・その他、シフト機能はあってもチルト機能のないレンズもあるので注意!!
  ・レンズベビーのシリーズの中では、コンポーザープロU エッジ50 あたりか・・・これならば、最短20cm程まで近付けるのですが、50mm・・・マクロの拡大撮影には厳しい&中古でも \59,847 & そもそも数が少ないので中古で出回らない・・・
   真実不明ですが、そもそもレンズベビーシリーズはクセが強く、お遊びで使う程度のものとか・・・ネットで見た余談♪
  ・TTArtisanやAstrHoriからティルトレンズが発売されたのですが、ミラーレス用でFマウントはありません・・・ちなみにミラーレス用のZマウントを旧マウントであるFマウントに変換する事は出来ないようです。


2、チルト機能を備えたマウントアダプターを買う。
  ・ほとんどがマウント変換アダプタとして販売されているので、ティルト機能のあるマウント変換アダプターだけでなく、新たに他のマウントのレンズを買う必要があります・・・
   と、言う事は・・・手持ちのレンズは全て使えない!!・・・しかも新たに買うレンズは使って見ないと、その組み合わせで使えるかどうか分からない!!
   メーカーとしては、KIPON が有名で、数は少ないのですが、品質は Fotodiox の方が良いようです。 ただ、どちらも \36,000 〜でした。
   KIPON は、360°自由に角度を変えれるのが魅力♪ Fotodiox は 10°まで傾ける事ができる。
  ・普通にチルト機能のあるマウントアダプターでは、他のマウントになってしまうので、さらに極普通のマウントアダプターも買ってしまう。
   Fマウントレンズ+マウント変換アダプタ(他のマウント)+(他のマウント)チルト機能のあるマウントアダプタ(Fマウント)で、カメラのFマウント。
   いろいろ調べるうちに、マウントアダプターを取り付けると言う事は、レンズと本体の間に異物を挟む・・・これはある意味、中間リング。
   レンズによっては、全くピントを合わせる事が出来なくなるのです・・・2つもマウントアダプターを挟むと・・・そもそも撮影自体が不可能になる可能性も!!
  ・唯一見つけたレンズ側も本体側もFマウントでティルト機能を持つマウントアダプターにバシュポ(Pixco)がありました。
   ここまで調べたら、間違いなく、これ一択になるのですが、色々なHPやレビューを見ると・・・中国メーカーで品質が悪く、無理やり接続したら取り外 せなくなった、取り外すのに物凄い苦労した、そもそも全くピントが合わない、届いたら箱と中身が違ってた、もう絶対に買わない・・・などなど・・・プラス の評価が殆ど無く、悪い評価・評判ばかりなんです・・・
   このバシュポは1方向にしかレンズを傾ける事が出来ないのですが、レンズ自体を回転させる事が出来るので、360°(実際には30°刻み)自由に傾ける事ができるのです。傾けれる角度は8°まで。


3、ベローズ(現在は販売していないのでもちろん中古)を買う。
  ※ベローズの中でも、古い PB-4 はシフト・ティルトが出来るのですが、その後に発売された PB-5、PB-6 にはありません。
  カメラのキタムラで、過去に\17,000で販売してました。
  超昔のカメラのイメージ・・・ジャバラのあるカメラ・・・そんな見た目も好みで良いのですが、使うには3脚必須で、細かな微調整しながら時間を掛けて撮影・・・これでは生き物の撮影には厳しい!





さてさて・・・ここまで調べてみなさんならば、どうしますか!?
私は、結局、ダメ元覚悟で最安のバシュポ(Pixco)にしました。
Amazonで\6,697でした。
注文したら届くのは1ヶ月後の予定・・・マジか・・・ネットで調べた時に船便だったとの記事も読んでいたので、慌てなかったのですが、ここまでとは・・・みなさんも慌てない様に・・・実際には、予定よりは早く届きました♪

ここで改めて♪
バシュポのティルト機能のあるマウントアダプターは、8°までレンズを傾ける事ができます。
この8°まで傾ける事ができる方向は1方向のみです。
そしてこの8°までの傾け具合は自由に動かす事ができます。例:6°でも6.1°でも6.01°でも可能。
傾ける事ができる角度は1方向なのですが、30°毎にクリック感のある回転機能により、結果的に全方向にレンズを傾ける事が可能になってます。
このアダプターに電子的な接点は無いので、絞りリングのあるレンズでないと、絞りはMAX(暗い!)になってしまいます。
(昔のレンズはレンズ側で絞りを設定できました。新しいレンズはカメラ本体側で絞りを設定するので絞りリングは無いのです・・・私は半固定・・・レンズの 絞りレバーの隙間にゴムを挟んで撮影できるか試しました。絞り開放に近い厚みのゴムを切って挟むのです♪もちろん結果OK。)
このアダプターの厚みを定規で測ってみたら、約2.5cmでした。これは厚み2.5cmの中間リングを挟んだのと同じ状態になります。
中間リング・・・レンズとカメラの間に挟む事により、レンズの焦点距離を伸ばし、撮影倍率を上げるパーツです。
  クローズアップレンズやテレコンバーターと異なり、レンズの無いただの筒なので画質の劣化は無いのですが、レンズによっては無限遠ではピントが合わなくなる他、全くピントが合わなくなる事も。






レンズを右(写真では↑上)に傾けた所。これがMAX8°。
たかだか8°だけ・・・と思っていましたが、直線を引くと良くケラレずに済むものだと思いました・・・不思議♪




写真は、左よりタムキュー、テレコン、チルトアダプタ、カメラです。


ここから覚え書き。
手持ちのレンズにアダプターを取り付けた結果を記録として残します。カメラ本体は、ニコン D7000です。
それぞれ、普通にレンズのみを付けた場合と、古いテレコン(x1.5)を付けた場合を残します。
テレコンを付けた場合のものは、レンズ+テレコン+チルトアダプタ+カメラとなります。
ピントのあった範囲を記録として残していますが、これは被写体とイメージセンサーとの距離です。

・タムロン 90mmF2.8 272E (タムキュー)
 一番メインで使うこのレンズのみ、絞りリングのあるレンズです。
 テレコン無し:ピント範囲:30cm〜50cm。
 テレコン有り:ピント範囲:33cm〜115cm。倍率約2.3。
 (※テレコンをレンズ+チルトアダプタ+テレコン+カメラにしてみたら:ピント範囲:32〜50cm。でした。テレコン無しとほぼ変わらずで画質が落ちるので意味なし。)

・ニコン Fisheye Nikkor 10.5mm F2.8 (魚眼レンズ)
 テレコン無し:ピント範囲:XXX。
 テレコン有り:ピント範囲:XXX。
全滅。これが実現すれば面白かったのですが残念♪
いつかもし・・・ミラーレス一眼が手に入ったら変わる(フランジパックが短いのです)かも・・・。

・FIT 魚露目8号(虫の目レンズ) + ニコン 18-55mm f/3.5-5.6 (虫の目レンズのマスターレンズ)
 テレコン無し:ピント範囲:55mmでXXX。広角側はXXX。
 テレコン有り:ピント範囲:55mmで0〜23cm(レンズ前1.5cm)。広角側はXXX。
レンズ前1.5cmの設定の時だけ使える。もともと被写界深度が深いので意味ある!?

・ニコン 18-55mm f/3.5-5.6 (標準レンズ。虫の目レンズのマスターレンズのみ。)
  テレコン無し:ピント範囲:55mmで20〜30cm。24mmで0〜0cm。広角側はXXX。
  テレコン有り:ピント範囲:55mmで25〜68cm。24mmで20〜23cm。18mmで0〜19cm。
55mm(望遠)側でテレコン有りならば、使えなくもない。マクロレンズ並みに拡大できる。

・タムロン AF70-300mm F/4-5.6 (A17) ※距離は上記までに比べアバウトです。
 テレコン無し:ピント範囲:
 70mmで40cm
 135mmで1m〜1.5m
 180mmマクロモードで1m〜3m
 300mmで1.5m〜3m
 300mmマクロモードで1m〜3m
  テレコン有り:ピント範囲:
 70mmで80cm〜1m
 180mmマクロモードで1m〜5m
 300mmで1.7m〜7m。
 300mmマクロモードで1.1m


焦点距離の短い魚眼レンズは全くダメ、虫の目レンズはマスターレンズを望遠側にしてギリだけど撮影はほぼだめ、やはりもともとレンズとカメラ本体との距離が短い設計になっている所へ異物を挟むのは無理があるようです・・・
10.5mmに+25mmは厳しくても、90mmに+25mmならば、何とか許容範囲に収まる感じでしょうか!?
そして、兎に角なんでもやってみよう♪ 精神で、テレコン付けての実験もしてみたのですが、意外にもテレコン付けてレンズが伸びてもピントの合う範囲は余裕が出来たのです。光学的な知識を持っている人ならば当然のことかも知れませんが♪
ただの素人の言葉遊びかも知れませんが、テレコンを付けると焦点距離が伸びる=元々焦点距離の長いレンズと同じ扱いになって、多少の異物も許容範囲になる・・・のか!?
ここでふと・・・今回使ったテレコンは、x1.5。倍率が上がれば、さらにピント範囲は広がるかも!?なんて♪


さらに余談・・・
僅かですが、チルトレンズを自作している方の記事のなかで、ワイドコンバーターを使っている人がいるのを思い出しました。
今の私は持ってませんが、もし手に入れたらまた何か新たな発見がある・・・かも!?





今さらですが、ここでシャインプルーフの原理を・・・



手書きで簡単に書いてるのでザックリですが♪ 背景は関係の無い梅の花の写真です♪
イメージセンサー(カメラ本体の赤線部分)とレンズ面(緑の線が交差している箇所の黄色の線)とピント面(もうひとつの赤い線)は、一つに交わるんです♪
これが何かと言うと・・・
1、レンズを傾けた角度よりもピント面は大きく傾く。
2、ピント面が遠くにある程、大きく傾く。
と言う事。

その他、余談ですがチルトシステムを作る際に気を付ける事。
簡単な事ですが、イメージサークルの大きなレンズを使う事。イメージサークルの小さなレンズを使うと、少し傾けただけでケラレ(何も写らない黒い部分)が 発生してしまうんです。私は偶然、カメラはAPS-C、そしてレンズのタムキューはもともとフルサイズに対応するイメージサークルの大きなレンズだったのです。
そしてフランジパック(イメージセンサーとレンズとの距離)を意識する必要があります。
今回私はボディがFマウントで、Fマウント用のレンズを使ったのです・・・これは、本来、カメラ本体とレンズの間には何もない前提で作られたもの・・・その間に異物を挟むので、無限遠が出なくなる(ピントが合わなくなる)んです。
これは本体のフランジパックよりもレンズのフランジパックの方が長いものを使ったり、一眼レフよりもフランジパックの短いミラーレス一眼を使うなどで解決します。
私の様に無限遠は諦めて接写専用と割り切るのも“手”ですね♪





ここまで8°の角度でチルト撮影してきましたが、近距離であればあるほど・・・シャインプルーフの原理と言うもので・・・ピント面を動かせる範囲が限られる・・・
まだまだ練習中ですが、その効果がどうも・・・いまいちな・・・もっと角度を付けたら、違った世界になる!? で♪
もっと自由にレンズを動かす事ができ、レンズとカメラとの距離もバシュポは2.5cmも離れているので、ピント範囲が限られる・・・もっと近付ける事が出来れば♪との思いで♪ 自分で作ってみるしかない♪

これはベローズの様にカメラとレンズの間は自由に動かせるように伸び縮みできる仕組みにしたい!!
その両端は・・・一番簡単手軽な方法・・・ボディキャップとレンズキャップを使う!! で♪



ボディキャップとレンズキャップが余っていた・・・(レンズ無しで撮影できるピンホールレンズを作りたくてアマゾンでボディキャップとレンズキャップのセットが複数入った商品を買ってあったのです・・・)ので♪ これの中央をくり抜いて枠だけの状態に♪
ピラニア鋸と、アクリルカッターを使いました♪



今回の作成目的は、自由に角度を調節出来る事と、カメラ本体とレンズを極限まで近付ける事!!
これで無限遠は出せなくても、近ければ近いほど遠くまでピントを合わせる事が出来るのです♪
鉄工ヤスリでキャップのプラをゴリゴリ削り・・・上の写真をみて下さい!!
黄色のライン間がボディとレンズの最短距離・・・その距離、9.5mm!! これならば!!
ちなみに買ったバシュポは、2.5cmでした♪



それぞれのキャップ間の覆いは、小型ポーチの合皮部分。このポーチも使わずにずっと放置してたものです・・・
枠よりも少し小さな穴を開けたら幾つもの切れ目を入れボンドのG17で接着し、針金で周囲をグルットくくりました。




完成形♪ 光が入らない様に周囲もボンドで接着し、念のため簡単ですが周囲を黒い糸で縫いました。



カメラ本体とレンズの間に取り付けた所。



レンズを上に向けた所。
こんな感じで上下左右自由に約45°程も傾ける事ができました。

さてさて♪ ピントの合う範囲は・・・
メジャーなど無かったので感覚ですが、イメージセンサーから最短30cm〜最長90cm程度までピント合わせ出来るようになりました♪
ちなみに、バシュポの時は、ピント範囲:30cm〜50cmだったのです。
しかも今回の手作りのものは、ある程度伸ばす(本体とレンズを離す)事もでき・・・拡大率もアップしてる!!
全てにおいて上回ったかと言うと・・・もちろん、欠点もあり♪
カメラ本体とレンズは固定されていないので、これを付けている間は、常にカメラとレンズの両方に手を添えて移動する必要があります・・・



初めて撮ったツバキの花。
ピント面は各花びらそれぞれの先端付近に♪



ピント面を手書きで簡単に書いて見ると、こんな感じなんです。
本来ならば、カメラでも人間の目でも、この様なピント面にするには左上から見下ろさないと出来ない事・・・それを横から見たままの状態で実現する事ができるのです♪



ひとつ上であれこれ書きながら・・・全部ピンクだと分かり難かった!! ・・・と、言う分けで、春になって改めて♪ わ・か・る!?




ベッコウトンボ。





 

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