アカネと言う植物を知り、ヌルデの虫コブがお歯黒や染色にも使える事を知り・・・染色にも興味が湧いてきました。 自然に存在する色々な素材を使って洋服などを染めることができます。 染色する材料によって染まる色が変わります。また、同じ材料を使っても、媒染液が違うと違う色に染まります。 まずは大雑把な流れ。 1、前準備:植物系の素材の場合は牛乳に浸けて乾かしておく。 動物系の素材(ウールなど)は、この工程は不要です。 2、染色: 植物を煮詰めて染液を作り、素材を浸ける。 3、媒染: 着けた色を定着させるために媒染液に浸ける。 金属(液)を使い、その種類(鉄・銅・アルミなど)により仕上がりの色も変わります。 4、色を濃くしたい場合は、2と3を繰り返す。 5、良く絞って洗って乾かしたら完成!!! 素材の前準備について。 1、染める素材は、洗って汚れや糊を落としておきます。 2、染めたいものの素材が植物系(木綿など)の場合、染まり難いので、 牛乳、豆乳などに浸して、絞り、乾燥させておきます。 これは、タンパク質を付着させるのです。 素材が動物系(ウールなど)の場合は、この処理は必要ありません。 写真は、牛乳に浸しているハンカチ。 洋服を牛乳に浸けるのには少し勇気がいりましたが、完成後に雑巾の臭いになったりはしませんので安心して浸けましょう・・・ 素材に模様を着ける場合: 染める素材に模様を付けたい場合は、輪ゴムを留めたり、小石などを包んだりしておきます。 媒染液: 素材に色を着けてもそのままでは直ぐに色落ちしてしまいます・・・そこで、着けた色を定着させるために媒染と言う処理を行うのです。 媒染に使うのは金属系のもの。 鉄。(酢酸第一鉄) 鍋に釘と酢を入れてグツグツ煮込んだら数日間放置して作ります。 これ以降は放置して常にサビサビ状態にしておけば、酢を入れて混ぜるだけで完成。 アルミ。(硫酸アルミニウムカリウム水溶液) 焼きミョウバン(食品添加物なのでスーパーで買えます)を溶かすだけ。 水1ℓに焼きミョウバン1〜5g程度の割合です。 やや溶けにくいので、お湯にして溶かすと良いです。
銅。(酢酸銅水溶液) 銅線をお酢に数日間浸けるだけ。青い液体になります。(写真はただの銅線です♪) 五倍子(フシ)の染色: 染色液の前準備。ヌルデに出来た虫こぶの採取。 ※これを五倍子:ゴバイシもしくはフシと呼びます。 虫こぶの探し方: この虫こぶの住人はヌルデシロアブラムシです。この虫、冬の間はチョウチンゴケで過ごすので、ヌルデとチョウチンゴケの両方がある環境でないと見つからない・・・では早速、チョウチンゴケ探し・・・等と考え過ぎずに単純に沢の近くのヌルデで見つかる事が多いです。 なぜ虫こぶを使うのかと言うと・・・虫に寄生された部分は、植物の防御作用でタンニンが多量に蓄積されているのです。このタンニンを使います。 採取した虫こぶは、カラカラに乾燥させておきます。 湯を掛けて錆びさせた鉄クギ。 酢と一緒に煮込んでいる所。 媒染液作り。 素材を染めても、そのままでは次第に色が落ちてしまいます・・・ 色が落ちないようにするために媒染液を使います。 ヌルデの媒染液に鉄を使います。お歯黒と同じ・・・です。 釘に熱湯を掛けて錆びさせて、酢と一緒にグツグツ煮込んで作ります。 数日放置して完成。出来た成分は、酢酸第一鉄です。 乾燥させた虫こぶ。 今回使うのは今年採取した写真のもの全てです。 これを叩いて砕きます。パリパリと簡単に割れます。 これを鍋に入れ、水を入れてグツグツ煮込みます。 20〜30分程度。湯に色が出てきます。 砕いた虫こぶを取り除いたら、媒染液をボトボトッと投入。 染色液と媒染液を先に混ぜてしまいます・・・墨汁の様な黒さ・・・ (今回は飛ばしてしまいました・・・が、素材を一度湯通しした方がムラ無く染まります。) ここへ、素材を投入して適度に掻き混ぜて染めます。 色が着いたら流水で色が出なくなるまで良く洗い流します。 これを、乾燥させたら完成!! 出来た作品。 薄墨色になりました。 輪ゴムで留めた模様は想像以上に綺麗に出来ました。 色の濃淡は、ムラ・・・でしょう・・・原因は、小さな鍋を使った事、染める前に素材を濡らさなかった事だと思います。ただ・・・これはこれで、いい感じ。 100均で買ったただの白いハンカチも愛着が湧きます。 ※因みに五倍子色(うつぶしいろ)に染めるためには、別の媒染液を使うようです。 空五倍子色(うつぶしいろ): 茜(アカネ)の染色: 次の素材は、アカネ。 アカネと言えば、植物よりも色を連想する方も多いのでは? アカネ色は、この植物の根を使います。 アカネの根。 若い根は綺麗なオレンジ色のやや透き通った感じの根です。 太い根は硬い皮に覆われて濃い赤茶色です。 良く洗って乾燥させておきます。 アカネの根を細かく砕いて煮込み、染色液を作ります。 赤っぽい色になってます。 予め濡らしておいた素材を浸けます。15〜20分程度。 ムラにならないように時々掻き混ぜます。 素材を浸けている間に媒染液作り。 お湯に小さじ1程度のみょうばんを溶かします。 ※焼みょうばんは、料理にも使うので近所のスーパー等で手に入ります。 染色液から出したら一度水(湯)で洗い、この媒染液に15〜20分程度浸けます。 浸け終わったら水(湯)で洗い、もう一度、染色液に15〜20分程度浸けます。 最後に丁寧に洗って乾燥させれば完成!! ※染色の順番(まとめ): 1、染色液に15〜20分浸したら素材を水(湯)で洗います。 2、同様に媒染液に15〜20分浸したら素材を水(湯)で洗います。 3、最後にもう一度、染色液に15〜20分浸したら素材を水(湯)で洗います。 ※2・3を繰り返すと濃い色になります。 出来上がった作品。 茜色とは程遠い・・・根の量が少なかったのでしょう・・・とても綺麗な桜の花びらの色となりました。 小石で作った丸い模様はちゃんと出来てます。 因みにこれが茜色: ヒイロタケの染色: 鍋に水面が隠れるほどの量の2倍程度投入して弱火でグツグツ1時間以上煮込みました。 媒染液を別に用意して・・・あっち浸け、こっち浸けが面倒なので、今回は焼きミョウバンを僅かに投入したらハンカチを投入して掻き混ぜ続けただけ・・・ もう少し黄色に近くなると思いきや・・・薄茶色に近い・・・量や媒染液の違いかな? セイタカアワダチソウの染色: 今までハンカチ程度しか染めた事が無く・・・しかも、成功したのか!? と、言うものばかりでしたが、本番中の本番、これから数年は着続けるサバイバルで使う洋服を染めてみました。 セイタカアワダチソウの花(茎や葉が入っても構いません。)と水を鍋に入れてグツグツ煮込みます。 今回使うのは、白と紺色の糸で編み込んである上着。 サバイバルで使う洋服なので緑色に染めたい・・・青+黄色が緑なので、白い部分が黄色になれば緑になるのでは!? さてさて、どうなるか!! 早速!! 右が染液、左が媒染液。(それぞれ1回浸けた後) 媒染はアルミを使いました。 染液は濁った黄色味を帯びた茶色な感じですが、媒染液に浸すと黄色に! 交互に浸けて黄色をシッカリ定着させました。 デジカメの補正で、目で見た色合いと少し違います・・・実物はもう少し濃い緑色なのです。 想像以上に良い色合い・・・理想的な染色になりました。 真っ白だったタグが一番分かりやすいでしょう。こんなに黄色に染まっていたのです。 今回は、いきなり大きな素材で大変でしたが、想像以上に大成功できました。 大量に採取したセイタカアワダチソウ・・・調べたら、アルミの媒染液を使うと黄色ですが、鉄の媒染液を使うと、そのまま理想的なモスグリーンになると知り、さらに挑戦!! 帽子。 1年以上被っていたでしょうか・・・太陽に晒される面は色あせて白っぽくなっていたのです。 これを染めてみよう! 鉄で媒染する時は、染液に媒染液を投入してしまって素材を投入するだけ。 時々掻き混ぜながら1時間程度したら、絞って乾かすだけ。 こちらもデジカメの補正で白っぽいです。 実際はもっと濃い緑色になりました。 またまた大成功!! 買った時よりも雰囲気の良いモスグリーン(+わずかにカモフラ)の帽子になりました。 これは面白い!! サバイバル生活では太陽の日差しで洋服が色褪せますが、そうしたら、好みの植物を使って染色・・・今まで以上に良い味わいとなるのです。 これが色褪せたら次はどんな色で染め直そうかな?