紙作りと言えば、紙漉き。 紙漉き枠は無くても紙は出来ますが綺麗に作るには必需品。 買うとそこそこの値段になるので、やはり自作にしました。 網は網戸の補修用網の切れ端。 木枠は、自然のものから角材を切り出すのはとても手間なので、今回は100均のお世話に。枠の角材と網を押さえる板材の総額200円掛かりました。 サイズはハガキより若干大きいサイズ(周囲を切って整形できるように)としました。 漉いた紙を取り出しやすいように、枠の中にスッポリ納まるサイズの網も作っておきます。周囲からボロボロと解れてしまうので炙っておくと良いです。 繊維同士をくっつけるのに、洗濯のりを使います。 無くても出来ますがあった方が良いです。 天然物にこだわるなら、トロロアオイの根やノリウツギの皮を使います。 これも100均のお世話になりました。¥100なり。 極少量で良いので、紙の大量生産をしない限りずっと使えそうです。 さらに、綺麗な白い紙を作りたい場合は漂白剤を用意します。 今回は材料費総額300円。これは、勉強代ですね・・・ 初挑戦の原料は・・・ ひも作りをして残ったヤブマオの繊維です。茶色い皮が少し混ざってますが、肉は大概腐らせて取り除いてあります。 とても丈夫な長い繊維が、逆に紙作りにはあまり適していないとの情報もありました。 包丁で丁寧に細かく切り刻んだのが上の写真。 繊維同士がまとまって、綺麗に薄くなりませんでした・・・ かなり厚めになりましたがどうなるかな・・・ 板の上にひっくり返します。 中に網を1枚敷いていたので簡単に取り出せました。 網の上から水分をある程度吸い取っておきます。 ドライヤーで速乾させても良いのですが、変形しやすくなります。 ここは、じっくり乾燥させる方法に・・・ 網を取って木綿の布を被せ、その上に新聞を載せて重しをしておきます。 翌日、湿った新聞は別のものに交換・・・を繰り返します。 出来た紙。 上も下も同じ紙ですが、写真の写り具合によって色合いが大分違いますね・・・実際は、上の写真の色合いが近い です。 市販の紙の様にツルッとしていないので、ボールペンやえんぴつで字を書くのは厳しそうです・・・筆で書くとどうなるかな? 短冊状に切って栞(しおり)にしても良いかも。 ネットで調べながら初めて作りましたが簡単に出来ました。 もっと別な素材でも挑戦してみたいと思います。 ※いろいろな方法が見つかりますが、素材により適・不適があるようです。 柔らかい草:タンポポ、ハコベ、ノゲシなどはミキサーで砕いてザルにあけ、水で不純物を流すのを2回繰り返す方法で出来ます。 ややシッカリした素材のものは木槌で叩く必要がありそうです。 木の皮は、水酸化ナトリウムで煮込む必要がありそうです。タンパク質を溶かす・・・ので、人間にとっても危険。取り扱い注意。 水酸化ナトリウムの代わりとなるアルカリ水溶液は、水1Lに重曹100gを溶かしたもの。 糊は無くても出来る様ですが、あった方がより確実。 12月中旬。 セイタカアワダチソウのまだ緑が残っている葉を採取してみました。 まず、ミキサーに掛けてみます。 ミキサーで大分細かくなりましたが、これ以上は無理か・・・ (ミキサーの性能にもよるかと思います。) ミキサーでは十分ではなかったので、すり鉢でゴリゴリと・・・良く擦って良く水洗いして不純物を取り除いたところ。だいぶ白っぽくなりました。 洗濯糊を混ぜてまな板に載せて伸ばし、乾燥させます。 結果は・・・ボロボロ・・・(写真はありません・・・) あまりに酷かったので写真を撮る気も失せてました・・・ 何が失敗だったのか・・・この失敗も経験のひとつ。 クワゴのマユを採取した時に手に入れたもの。 この薄い膜状のものの中に楕円のマユがありました。 糸はセリシンと言う接着剤でくっ付いていてお湯に溶けやすい性質があります。 これを水で湿らせてからアイロンでくっ付けることができます。 1、適度に切り刻んでから布の上に並べて水に浸します。 (今回は古くなったワイシャツを使いました。) 2、あまり変わりませんでしたが、指先で軽く叩いたり押さえたりして解しました。 3、布を折り返して中に挟み込みます。 4、私はさらにキッチンペーパーで挟みましたが、これは不要でしょう。 5、アイロンでプレスします。 (手元にアイロンがないので湯を沸かしたヤカンをアイロン代わりにしました。) 6、乾いたら完成。 プレスした所。布の中に入っているので分かり難いですね。 ヤカンのアイロンでは完全に乾ききらなかったのでしばらく重しを載せて放置しました。 出来た紙。 当然ですが、切り刻んで並べた状態が完成形となります・・・綺麗に並べれば綺麗な紙に・・・ 向こうが透けるほど薄いですが、丈夫でシッカリくっ付いてます。 和菓子などを包む紙のようです。 シュロガヤツリ。 この仲間のパピルスから紙が作られました。この種でもできるか・・・ 茎を採ります。60〜70cm程度ありました。 繊維の強い皮部分を使うのかと思いきや・・・中の柔らかな部分を使います。 写真上は取り除いた皮。写真下が使う中身。 中身の断面は三角形になっています。ここから厚さ2mm程度ずつ削ぎ取ります。 削ぎ取ったら叩いて伸ばして平らにします。今回は木のまな板に木の擂り粉木を使って伸ばしました。 水に浸けてしばらく放置します。 2〜3日と言う情報や2〜3週間と言う情報もありました・・・写真はティッシュペーパを上から載せて全体が浸かるようにしてみました。 12日後。 やや変色してきます。 台に並べて圧力を掛けて乾燥させます。 並べた後、さらに叩くと言う情報もありました。 古くなったワイシャツで挟み、ダンボールで挟み、上に腰程の高さまで本を積み上げて放置(乾燥)します。 20日後。 まだまだやや湿気がありました・・・ 乾燥して縮み、隙間が・・・ くっ付いている所も僅かにありましたが、ほとんどはパラパラと・・・これは失敗。 パピルスではこの方法で紙が出来るはず・・・なのです。 余談ですが、このシュロガヤツリを使って紙作りに成功された方もおられるようです。 機会があれば、また挑戦します。 またまた失敗・・・で、終わってしまうのはもったいない・・・ と、言うことで、せっかく採取した繊維を再度水に浸け、以前行なったように洗濯のりを追加して紙にしてみる実験へ・・・ 今回は20日ほど水に浸けました。 洗濯のりを投入して良く混ぜ合わせ、格子状に並べて叩きました。 今回は十分に柔らかくなっていたので叩くと繊維が解れて良い感じに・・・ ここで前回失敗した原因の一つが判明しました。 水に浸ける期間が2〜3日から2〜3週間とかなりバラつきがあるのは、季節によるものの可能性が高いです。 前回、真冬に12日程度浸けた程度ではまだまだ足りていなかったのでした。 水に浸けて若干腐るかのように柔らかくなり粘りがでるまで浸ける必要があったのでした。 ここからは、前回同様に布に挟んで本を載せてプレスして乾燥を待ちます。 布の上下にキッチンペーパーを置いて数日毎に取替えしたら1週間で完成しました。 パリパリに乾燥して完成!! ・・・なのですが、若干隙間が・・・80点と言うところか・・・ 紙と言うより穴のあるベニヤ板のようでもあります。 叩いて繊維を解した後、隙間が出来ないように再度整えれば綺麗になったでしょう。 パピルス紙はこの状態から石や貝などで表面を削って作られました。 機会があれば、今度は洗濯のりを使わず、隙間の無い物を作って見たいと思います。 これは番外編ですね・・・ 多羅葉(たらよう)・・・この木の葉は、傷つけると色が変わるため、文字を書く事が出来るのです・・・言わば紙・・・ 1年を通していつもこの木の葉が周りに落ちてます・・・その中でも瑞々しいものを選んで落ちている小枝の先などで傷つけるだけです。 このまま時間が経って乾燥しても文字の部分はそのまま残ります。 余談ですが、この多羅葉の葉に経文を書いたので、今でもお寺に植えられる事が多いようです。 写真は、山頂にある城址にあったものですが、実家のお墓があるお寺にもこの木がありました。 また、この葉に文字を書いて切手を貼ったらそのままポストへ投函できる・・・唯一の葉っぱ! 葉書の語源にもなったとか・・・葉書の木とか郵便の木としても知られています。 2018年12月。ロードキルのタイワンリスから筆を作ったのですが、墨も紙もない・・・ 改めてこのページを見直したら、字が書ける程の紙をまだ作れていない事に気が付きました。 ならば! と、手軽な野草での紙作りに再度挑戦!! この時期にまだ緑を保っている柔らかい葉・・・タンポポの葉を使いました。 セイタカアワダチソウでの紙作りに完全に失敗したのが4年も前! とにかく、繊維をほぐす事が重要なので、少し腐り気味な程にドロドロにしたい! 実は腐りかけのタケノコが紙作りにとても良かったとの情報も見つけたのです。 そこで、今回は適度に刻んだら軽く茹でて数日放置。茹でたものは腐りやすい・・・ 寒い時期でなかなかドロドロにならないので、袋に入れて毎日もみもみしながら常温放置。 休みの日には外に持ち出して車のフロントガラスの内側で1日ポカポカに温めたり・・・ 9日後・・・そこそこドロドロになったので枠に入れて紙作りへ・・・ こんな感じでドロドロのペースト状・・・今度こそは出来るか?? 安全を図って洗濯糊も投入しました。(これは十分ドロドロならば不要なのです。) 15日後。 ドライヤーで短時間に乾燥させるとベコベコに波打ってしまうので、クッキングシートに挟み、キッチンペーパーで挟み、ダンボールで挟み、数キロの重石をして作りました。 じゃ〜ん!! 見事、ツルツルのペラペラ。柔軟性のある紙の完成!! 大!成!功・・・・・・・ 当初の予定が、自作の筆で自作の紙に字を書きたい事だったのです・・・なぜに真っ黒になった!? まるで海苔のように真っ黒!! 繊維を漂白して真っ白な紙を作る方法もありますが、あまり好きではない&今回はここまで黒くなるとは夢にも思わず・・・出来たのは嬉しいけど残念・・・悲喜こもごも状態となりました。 植物の繊維&白と言えば・・・思い付いたのが“もぐさ”。 もぐさ作りの要領でヨモギをカラカラに乾燥させた後、ひたすらモミモミして繊維以外の部分(緑色の部分)を揉みだして行きます。 この辺で、試しに濡らしてみたら・・・めちゃめちゃ色が濃くなった!! 野草料理でアク抜きすると、凄い色が出たりするのを思い出し・・・水に浸けて放置! 水の色が黒い!! これで大分アクも抜けたか・・・ 絞ってもまだまだ緑!! 水分を含むと濃くなるので乾けば白くなる!? それから・・・またまた揉んだり、水に浸けたり・・・ そう言えば色素は太陽光でだんだん色が抜けるはずと・・・炎天下に晒してみたり・・・ かれこれ5ヶ月が経ちました・・・だいぶ白くなりましたが・・・茶色になってる!! ここで紙作り開始♪ 水に入れて洗濯のりを入れたら掻き混ぜて型にはめました。 水分が多いままダンボールで挟んで乾くのを待っていたら・・・ご覧の通り・・・ 乾くのに時間が掛かってしまい、カビが!!! まるで嫌がらせのように白い!カビ! いや、この白は願いが叶ったのか!? なんて。 ちなみに、繊維の量が多かったのでしょう・・・これを圧縮して乾燥させて固めたので、紙と言うより板に近いものになりました。自立できる立派な紙に・・・ ガマの穂。 2年前にガマの穂をほぐし、冬の防寒対策として靴下に入れて使いました。 ずっと部屋にあり・・・ふと、閃いたのです。 このもふもふ・・・糊を使えば紙になるかも!? で、挑戦!! ※余談:ジップロック入れて使ってたので綺麗です♪ ほぐしてみたところ。薄茶色ですが、十分白い!! 水に投入したら、洗濯のりを・・・どの程度だろうか・・・適度に・・・ そしたら、棒でグルグルグルグル〜 全ての繊維が適度にバラけるように何度もグルグルグルグル〜 前回、ベトベトに水分を含んだままダンボールに挟んで乾かそうとしたらカビが生えてしまいました。 そこで、今回は扇風機の風に当て、表面が乾き始めた頃に挟んでみたのです。 ちなみに、洗濯のり・・100均で買い、沢山入っているのですが、成分をみたら“でんぷん”。これは食べる方で試行錯誤している相手・・・ユリ根のでんぷんでも出来るかも!? そう言えば、番外編:接着剤で使った海藻糊も使えるのでは!? 機会があればまたいつか・・・ 出来た紙。厚手と薄手。 これは周辺だけはパリッとくっついているのですが、その他の部分が僅かにもふもふ・・・少しですが膨らんでいるので、手に持った感じでは紙と言うより布になりました。 糊を多くして圧縮させれば、もっとペラッとした感じになるでしょう・・・ただ、あまり多くなるとガッチリと板になってしまうので、その辺の匙加減に注意する必要がありそうです。 これはまずまず・・・80点と言ったところでしょうか。 朽ち木砕きをしていたら・・・全然虫が居ない!! なんで!? 手を突っ込んだら、指で千切って掘れるほど柔らかいのに、全然、虫が居ない!! そしてありえんほどに綺麗!! この違和感に・・・しばし・・・なんでだろう・・・そしてふと・・・ この繊維・・・柔らかい・・・ふかふか・・・これはもしや!!! 手で軽くモミモミしてみたら・・・ご覧の通り♪ いける!!! 家に持ち帰ったら、My木槌でひたすら叩いて繊維を解しました。 これに水と洗濯糊を混ぜたら、いつものように、アミで漉いて、クッキングシート、キッチンペーパー、ダンボールに挟んで重石をし、毎日朝晩、キッチンペーパーを取り替えて数日後・・・ 見事完成♪ これは、今までで最高の出来!! 間違いなく、紙!!になりました。 写真右がやや厚手、左が薄めです。 拡大。 筆はもちろん、鉛筆でも文字が書ける程にしっかりした紙ができました。 スズメバチの巣。 木を砕いて作られたスズメバチの巣に白い部分・・・ (済みません・・・白いフタ状のもので塞がっていたのですが、頂くために切り取ってしまいました・・・食べた後で気が付いた♪) よく見たら、これは紙!! これらを集め、溶かした後、また平らにならして乾燥させる事が出来たら・・・強靭な紙になりそうですが・・・出来るかどうか不明♪